今や、新規事業に取り組むことはどの企業にいても珍しいことではなくなっています。「新規事業」に取り組んでいる方は非常に増えている一方で、一体何から手をつけていいのか不安でいっぱいの方も数多くいるようです。特に新規事業については、先輩に聞いても成功事例がないケースが一般的です。
企業が新規事業に取り組む理由もたくさんあります。最新技術を用いてアップデートするため、既存事業に依存しすぎないため、企業風土に活気をもたらすため、常に革新を続けるためなど、さまざまな理由があるはずです。そんなとき、会社から新しい事業をつくるというプロジェクトにアサインされたらどうしたらいいのでしょうか?
会社からアサインされなかったとしても、社内の友人や知人からアクセラレーションプログラムへの参加を誘われることもよくある話です。新しい仕事でワクワクするものの、不安が押し寄せてくるなら(あるいは不安がなくても)ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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解決しようとする課題の当事者について深く知る
新しい技術が関与するような事業の場合、そのテクノロジーが理解できずに圧倒されるかもしれません。しかし、テクノロジーは問題解決のための手段です。問題を抱えている人、つまり将来の顧客はどこにいるのか?彼らが置かれた状況や、その問題についてしっかり理解しましょう。対話を重ね、同じような体験をして共感できるのが理想です。
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事業の仮説を自分なりに整理する
後からチームに加わった場合や、プロジェクトにアサインされた場合など、すでに「計画」が設定されていることがあります。しかし、新規事業は計画通りに進むことはまずありません。また、その事業についての情報も限られています。情報が集めるばかりでは前に進みません。「もし~なら上手くいく」といった事業が成功するための仮説をいくつか書き出してみましょう。新規事業が成功するためには、前提知識を持たない人が持つ「基本的な疑問」が解決されている必要があるからです。
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自社の生い立ちを知る
どのような大企業でも祖業(最初に立ち上がった事業)は素朴で小さいものです。大きな組織で、大きすぎる期待を掛けられている中、どうやったら大きな組織を動かすのか、悩むかもしれません。パナソニックの二股ソケット、ソニーのテープレコーダーなどシンプルながら顧客の欲しかった製品を開発した歴史があるはずです。自社のゼロイチ、そしてそこからの成長過程を知ることで、確実な一歩を取りながら大きな事業へと成長させるイメージを持つのです。
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事業アイデアの現在位置を知る
新規事業が成長するには、PSFとPMFという2つのマイルストーン(中間地点)を通過します。PSFとは、Problem Solution Fit(プロブレム・ソリューション・フィット)の略で、顧客が抱える課題(Problem)に対して、提供する解決策(Solution)がマッチしている状態を指します。PMFとは、Product Market Fit (プロダクト・マーケット・フィット)のことで、仮説検証が完了し、ビジネスの勝ち筋が検証できた状態です。ほとんどのアイデアは顧客が抱える課題(Problem)に対する理解と共感が足りない状態になっているので、立ち位置が分からないようならPSFできていない可能性が高いです。
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会社の制度を確認する
最近、多くの企業では社内アクセラレーションプログラムが導入されているので、前述した現在位置に合わせたサポートが得られます。制度が完備されていなくても、アイデアコンテストや、研究費・試作費や調査費を獲得する仕組みなど、分断されつつも利用できる制度を把握しましょう。他には20%ルールなど、自由に新規事業に取り組める制度なども存在します。すべての制度を使用する必要はありませんが、これらの制度は活動の後押しになることは間違いないので、活用を検討しましょう。
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反応の得られるアクションを計画する
人は、「やること」≒「アクション」があると、迷いがなくなり、不安も減ります。だからといって、タスクをたくさん洗い出してしまうと、それだけで満足してしまったり、作業量の多さに落ち込んだりするかもしれません。そして何より、新規事業が持つ不確実性に対処できなくなってしまいます。そのためまずは、「何らかの反応が得られるアクション」から計画することが重要です。顧客に提案してみる、社内の関係者に応援を依頼する、重要なパートナー候補を巻き込む、と何でも構いません。とにかく反応が明確なタスクを設定することをお勧めします。もし最初のタスクが「資料作成」だったりすると、つくって満足してしまう危険があります。「~を説得するための資料作成」とすれば、ゴールも見えますし、課題もはっきりするのでお勧めです。
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(おまけ)『イノベーションのための超・直感力』を読む
新規事業の落とし穴を50個以上書いた『超・直感力』は初めて新規事業に取り組む方のための実践書です。落とし穴にハマる前に、こちらの本を読むなり、私たちに声を掛けてください。